悴む愛

ジリジリと肌をこがす太陽が1つ
それなのに青ざめた顔の生き物が1つ
神経毒にやられてしまったせいで指のひとつも動けないらしい
時計のように緻密集まった電気信号が土切れ途切れになっていく
瞳孔は開け締めして線が集まって焦げた点は自分勝手に
涙を浮かべていた

どうだっていいさ本当に
信じていたんだ本当は
ついぞ傷ついた心では笑顔も許せない
冷ややかな腕に抱かれて
醜い生き物は幸福をおって
真っ赤な花は幽霊になって
抜け出せずにいる

ヒリヒリと背筋をするりと撫でる瞳がひとつ
なおも真っ赤に染る袖口が1つ
内側から溶けだしたせいで声のひとつも熱を失っていく
模型のように姿をなぞって気取った偶像はいずれ後悔になってく
呼応した僕ら呼吸もできず苦しくなっていた
君はそれでも笑顔を浮かべていた

どうだっていいさ本当に
信じていたんだ本当は
ついぞ擦り切れた体では涙も許せない
暖かな傷を感じて
醜い生き物は不幸終わって
ひと晩の赤は憂鬱になって
手遅れになっている
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