文左たから船

紀州紀の国 和歌の浦
七十余日の 長時化を
衝いて乗り出す みかん船
梵天丸の へさきには
男文左の 男文左の 晴れ姿

汐の岬や 熊野灘
おも舵取り舵 抜かるなよ
海は逆巻く 大怒涛
八大竜王 念じつつ
八重の汐路の 八重の汐路の
たから船

待ってましたぞ 紀の国屋
遠州灘をば 乗り切って
お江戸に運んだ みかん船
百万両は 誰(た)が為ぞ
男一代 男一代 名は末代
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