たそがれの浜

瀬波 磯波 かえして寄せて
今日も暮れるか 片割月よ
一度別れて 二度来ぬ船は
旅の鳥より まだ憎い

誰を松風 待たしておいて
さきは白帆の 空ふく風よ
鴎なぜ啼く なくなじゃないが
泣いて逢われる 恋じゃない

沖の灯台 灯(ひ)のつく頃は
逢えぬお方が 恋しゅてならぬ
ひとりとぼとぼ 磯浜づたい
ふめば砂さえ さらさらと
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