湖畔の宿

山の淋(さび)しい 湖に
ひとり来たのも 悲しい心
胸の傷みに たえかねて
昨日の夢と 焚きすてる
古い手紙の うすけむり

水にたそがれ せまる頃
岸の林を 静かに行けば
雲は流れて むらさきの
薄きすみれに ほろほろと
いつか涙の 日がおちる

ランプ引き寄せ ふるさとへ
書いてまた消す 湖畔の便り
旅のこころの つれづれに
ひとり占う トランプの
青い女王(クィーン)の さびしさよ
×