あじさい

もしも 私が突然あなたの前から消えてしまったなら
名前 呼んでも呼んでも 決して目を覚まさない人になったなら
あなたは きっと優しく私を抱き上げ泣いてくれるのでしょう
冷たい唇にそっと愛をこめてキスをくれるのでしょう

忘れないで なんて
無責任なこと言わないから
お願いがあるの
ねぇ 聞いてくれる?

その手でブルーのワンピース着せて
周りは あじさいでいっぱいにしてね
ふたりで写した写真も全部
入れたら最後に ギターを弾いて

ねぇ 去年の夏の終わりふたりで見た流れ星
遠くに消えた星を不安そうに見つめていたね
「人もいつか必ずまぼろしみたいに消えてしまうんだね?
忘れられてしまうかな、そう思うとすごく怖いんだ」

忘れないよ なんて
薄っぺらな言葉だけど
本当にそう思うから
ほら、顏を上げて

その手でブルーのワンピース着せて
周りは あじさいでいっぱいにしてね
ふたりで写した写真も全部
入れたら最後に ギターを弾いて

それから小さくなった私を
ポプラの木の下に連れて行ってね
言葉は何にもいらないから
お願い もう一度 ギターを弾いて
見送ってよ
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