夜行バス

夜行バスを掴む霧が、下降気味の心を閉ざす。
嗜好品だけの彼女では、栄養失調は治らない。

夜行バスは騙し騙し、蛇行気味の坂を下る。
社交ダンス踊れぬ僕は、
「カリフォルニアガール。」
旅路の夢に見る。

眠い時に眠りたいから、楽しい時には歌いたいから。
旅に出る意味はそれだけでいい。
それだけがいい。なんならなくってもいい。

ああ、全ては眠れない猫のために。
ああ、全てはイギリスかぶれのうらぶれた馬鹿のために。

流れるビルの灯りが滲む、辺りを見渡す。
トンネル抜ければ愛した人だけ笑える世界が、
できればあれば素晴らしいのに。
なんてね、

ああ、全ては眠れない夜の幻。
ああ、全ては眠れない君のために。
ああ、全てはルサンチマンとキスをする僕のために。

逃げ出す姿に貴賎などない。
溺れ行くバカに猶予などない。
この国に最早幸せはない。
ベイベ、夢の中で生まれて。
明日はただの明日でしかない。
僕には僕の日々でしかない。
ポケットに孤独を押し込んだなら、
バス停の知らない宝石の待つ街へ。

待つ街へ。
待つ街へ。
待つ街へ。
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