トマトスープ

かすれた声と
重ねた過去を刻み続ける 時計の針
とぎれてしまう
途切れてしまう 二度とここへは 帰ってこまい

最後にきみが 作ってくれる
台所からトマトの匂い
ぼくのすべてに 染みついて
記憶を 揺りおこしていくだろう

きみの夢も嘘も
ぼくのうたもこころも
溶かしこんでさ
そのまま
そのまま
消えそうな火で温めて

ともだちだ とか
たいせつだ とか 割り切れるくらい賢くもない
優しくなんて しなくていいよ
今さら戻れはしないし

きみが話す言葉
ぼくのなかのあちこち
染みて痛いから
このまま このまま このまま

最後でいいの? サイゴデイイノ‥‥
ほら、もうすぐ朝がくるよ

きみの仰ぐ空は
高く遠くすべてを 包みこんでた
きみの歩く音が
あの夏の花火を 思い出させた

きみの ひとつ ひとつ
ぼくの胸に いちいち
染みて痛いから
サヨナラ、サヨナラ。
振り返らずに 行けばいい
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