瓶底の夏

朦朧と僕は片手に持った
磨り減った午後の光の中

捩れた煙の先に見えた
絡まって転がった瞳の中泳ぐ
その夢も夢の中へ

言いかけのふたり 飴を噛み砕く
指遊びしましょう 扉閉め切って
錆びついたオルゴールも
咳き込んだ夕暮れ

照らし出せば影を引いて
混ざりあえない瞼に嵩む
口を塞ぐだけの永遠も捨てて
降りてゆけば

いつの間にか
瓶底に沈めた夏の雨に溶かされた
僕らが水面で揺れる

朦朧と僕は片手に持った
磨り減った午後の陽射しの中
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