砂の記憶

風のように通りすぎる
旅人の群れにまぎれ
差しのべた指に触れる
愛も希望も渇いた夢さえも
星に舞う彼の髪は
夜の空につながれて
果てしなく時を刻む
振り子のように
ゆらりゆられ そよぐ

眠ることさえ忘れてしまえる程
長い時に抱かれ
風だけを見つめ

彷徨える瞳には
ユラメクキセツのかけら残して

すり抜ける夢の少女
飲み干した夜の雫
蘇る砂の記憶
微睡の刹那に溺れながら

もう心さえ何処へも戻れぬまま
永遠をさすらう
時の無い国で

頬つたう ためいきを
祈るように遠く空に放つ
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