歌を辿る

「不思議だよなあ。…書き留めたから、残る」
「…何を当たり前のことを言っている」
「書き留めなければ、残らない」
「……」

古びた紙の上
綴られた歌や手紙
誰かの 物語

口にすることなく
胸にしまったままなら
残らなかった 何ひとつ

「…何ひとつ……」

込められた思いや
心ってやつも…

「ははっ。興味なさそうな顔してるな。伽羅坊にはまだわからないか」
「…歌を詠む意味など、わかるわけがない」
「…わかりたくもない?」
「……」

「さて、いくか」
「……どうする気だ」
「そんなん決まってんだろう? …ドーンといってバーンだ!」
「……は?」
「ドーンといってバーン! 覚えておくといい。
うちの本丸じゃ、作戦は大体これで通じる」
「……ちゃんと説明しろ」
「全く伽羅坊は仕方がねえな。敵の狙いが絞れないなら、
まずは辿ってみるか、ってことだ」
「…辿る?」
「ああ」

古びた紙の上
綴られた歌や手紙
その… 物語

「…ま、とにかく行ってみようぜ!」
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