スクラップアート

どうしてここにいるの

雨上がり 遠くの雷鳴が幽かに響く
傘を閉じ 道路引き摺って闇に刻んだ
星占い 濃霧のガード下 千切れたフィラメント
夜の隅 信号を待つサイレン この街は拒むように

君がどんなに錆び付いて 未来を歪めようとも
正しさの逃げ場所を世界が奪うなら
手を離さないよ
愛と哀を交差して
味方を 隙間を 信じて探す
魂―こころ―に触れて 燃える願いを

月明り 網膜を刺した 穴空きの空
裏返し もう眠れないな

種も仕掛けもない不条理で 過去を染められようとも
優しさの捨て場所と世界が謳うなら
前を向かないと

どうしてここにいるの 置き手紙 迷子の超音波
どうして泣いているの くだらない 思い出の共犯者
どうしてそばにいるの ハリネズミ 寝具の相合傘
どうして手をにぎるの この街を包むように

身を焦がす正しさか 照らし出す優しさか
息苦しい瓶の蓋をこじ開けて
火が揺れる アイを識る

君がどんなに錆び付いて 未来を歪めようとも
鉄屑の刻む鼓動を 世界が奪うなら
抱きしめるよ
1536℃を超えて
溶け合う 解け合う 信じて融け合う
魂―こころ―に触れて 目覚める太陽
瓦落多を彩る夜明け スクラップアート

どうしてここにいるの 傷跡辿って来たんだよ
どうして泣いているの 見えすぎた声を癒したよ
どうしてそばにいるの 巻き込まれたくているんだよ
どうして手をにぎるの 汚れが混ざって光ったよ
譲れなくて 捻じ曲がって
飢えた渇きを満たすほど
生きていたい 笑っていたい
進んでいく理由がある
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