ふるさとの島

翼があれば 飛んでゆく
波の向こうの 島の影
近くに見えて 遥かに遠く
帰るあてない もどかしさ
しぶき舞い散る 荒磯に
咽ぶ涙の 雨が降る

裸足で浜を 駆けながら
帰る船待つ 嬉しさに
緑が光る 遥かな山よ
声をかぎりに 叫んでも
今は届かぬ ふるさとは
時が止まった 遠い島

さだめの海を 越えられず
胸に棘刺す この痛み
思い出さえも かき消すような
風に震える ハマナスの
花に埋もれて 朽ち果てた
母の墓標が 目にうかぶ
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