浮かぶように

巡り合い 相対したが運の尽き
口を開けば綺麗事の君が言う
雲に描いたみたいな 未来さえ
いつか本当に浮かぶように

ひとつも間違っちゃいない
なんかそんな気がしている
大した理由を求めるには
一生は短いだろう

地べたに寝転がった
空が大半になった
低気圧に降り分離した
水泡に君が写る

右手には傘を
左手に心臓を

巡り合い 相対したが運の尽き
口を開けば綺麗事の君が言う
雲に描いたみたいな 未来さえ
いつか本当に浮かぶように

君は大概したいことも言わずに
分かり合い愛したいなんて無茶を言う
ぐずる空模様と競るアドバルーン
そんな日々を歩く
胸がやや浮つく

ひとつも間違っちゃいない
それだけでもう背反している
僅かな齟齬を見つけるのは
天使にも容易いだろう

渚はほど近く
雲は海月のように靡いている
閉じた窓を 開けたひとは
たぶん君だろう

右手には朝を
同じ手に心臓を

巡り合い 相対したが運の尽き
口を開けば綺麗事の君が言う
雲に描いたみたいな 未来さえ
いつか本当に浮かぶように

僕は大概言いたいことも知らずに
消えてしまわぬようにと歌を結う
燻る煙に相俟るメランコリー
空はふと秋めく
君は君のままで

蛹のまま 夢を見ていた
背中に萎びた羽根を受け
いつしか僕は
君になれたらと願った

蛹のまま 目は冴えていた
背中に萎びた羽根を受け
青い風景の 境界線は
もうどこにもないのなら

もう一度
深い海へ落ちる
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