目隠し少女と蜃気楼

深く閉ざされた夜空を色づける
ちいさな世界の優しい話

黒く疎まれた嘘吐きなカラスと
いつも目隠しの少女の話

投げつけられた石の数なら
数え切れるものじゃないけど
爪の手足の 黒い翼の
ボクにできること

眩しい世界を夢見る君へ歌う
しゃがれた声 嘘で塗り固めたストーリー
その不器用な瞼の向こう ちょっと期待させたら
笑う君を見ていたい

「優しいあなたを一度見てみたいなあ」
ボクは笑うだけ 言葉がないや
いつか君が光を戻した時は
どこか飛び去ってしまえばいいや

水をくぐった石塔の
瓦礫に咲いた花を摘んで
ランラララ ラララーラッター
鼻歌なんていつ以来だっけ

ろくでもないこの生涯で
やっと生きる意味を知ったんだ
やっと笑えたんだ

悲しい未来は啄んで愛を運ぶ
黒い羽がたとえ醜いと言われたって
この不都合な身体も 君にちょっとだけ明日を
教えてあげられるんだ

永久に響け鳥の歌 蜃気楼の世界は
ふたりだけに許された 箱庭の夢の中
物語じゃ語られない ありふれた幸せが
ふたりの望んだ ふたりだけの世界
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