しぐれ宿

傘を差しても 裳裾が濡れる
あなたに見せよと 選んだ着物
すすり すすり泣くよな せせらぎに
迷いながらも 渡る橋
今宵一夜(ひとよ)の 切ない逢瀬
隠してください しぐれ宿

ひとり飲んでた あなたの胸に
何にも言わずに 抱き寄せられて
いつか いつか迷いも 消えてゆく
罪は私が 背負います
今宵一夜に 女の命
尽くして悔いない しぐれ宿

離れられなく したのはあなた
抱かれた余韻に 雨音しみる
ほんの ほんの束の間 まどろめば
時は無情に 過ぎてゆく
今宵一夜の 短い夢は
哀しい幸せ しぐれ宿
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