腕時計

東京発のバス乗り場に
コロコロキャリー引きずり歩く
僕と別れ恋をやめて
君はあの街へ帰ってゆく

夢と自由、求め君が
悩み抜いて出した答えだから
止められずに、弱い僕は
うなづいて無理に笑っていた

忘れ物はないでしょうか?
わざとらしい風に聞いてみたら
君は戯け 笑いながら、心配しないでと呟いた

だけど本当は 知っていたのさ
引き出しに忘れたままの 腕時計のことを

言えなかった 言わなかった
「もうこれで最後」が怖かった
忘れられた腕時計が いたずらに君を繋いでる

そしてバスに乗った君は
未来と何の取引をしたの?
窓の外を眺めながら
その眼になにを映しているの?

君の横顔見上げてる僕は
今どんな顔をしてる? ねぇ教えてよ

言えなかった 言わなかった
もう「さよなら」さえも言えないの?
中途半端、僕と君の言い訳にまみれた腕時計

言えなかった 言わなかった
「もうこれで最後」が言えないよ
忘れられた腕時計が いたずらに君を繋いでる

忘れ物はないでしょうか? わざとらしい風に聞いてみたら
君は戯け 笑いながら そっと 左腕を撫でた
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