309号室

声に出して儚く散った
「さよなら」って本当の意味を
僕はいつまでも分からずにいる

最初は二人の鐘を鳴らして
これからもずっと一緒だって
疑いもなくただただ信じきって
夢みる乙女は僕の方だった

声に出して儚く散った
「さよなら」って本当の意味を
僕はいつまでも分からずにいる

でも、分かってるよ。
いや、分かってたんだよ。
君は分かってないんでしょ。
僕が何を言おうとしてたかなんて
笑ってもいいんだよ?
いっそ笑って欲しいんだよ。
こんな姿を見せれるのは君くらいだよ

小洒落たカフェは似合わないままの二人
カッコつけた珈琲と煙草が机ぽつり
次第に冷めた珈琲と真ん中は
時間が経っても君を
取り戻すことはないんだね

声に出して情けなくなった
「もう一度」って本当の意味を
君は少しでも分かろうとせずに

ねぇ、分かってるの?
もう、分かってるんでしょ?
僕が分かってなかったの?
君が何を言おうとしてたかなんて
泣いたっていいんだよ?
いっそ泣いて欲しいんだよ。
君が泣いたら悪者は僕になるから

足取り重くて立ち止まった
身軽い心の君は言った
「私も、貴方も、この部屋も、
抜け殻になったんだよ。」
気持ちすらここに残して去ってさ

でも、分かってるよ。
いや、分かってたんだよ。
君を分かった気になっていただけだったんだ
それでも、分かってるよ。
君を解りたいんだよ。
僕だけが独り残った角部屋のワンルーム
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