高山の女よ

誰を恋(こ)うのか 夜風にゆれて
祭り屋台に 灯がともる
旅の仮寝の 深情け 深情け
すがって泣いた いとしい女(ひと)よ
飛騨路 高山 春おぼろ 春おぼろ

燃えてどうなる どうにもならぬ
明日(あす)の見えない ふたりには
遠く聞こえる 笛の音(ね)が 笛の音が
吐息のように 心にしみる
飛騨路 高山 夜半(よわ)の月 夜半の月

秋にもいちど 逢えたらいいと
細い小指を からませる
泣いてかくれた 出格子に 出格子に
詫びてもつらい 別れの夜明け
飛騨路 高山 恋哀(かな)し 恋哀し
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