桜便り

去年の冬はとても寒くていつもより長かったね
冷たく冷えた僕の手のひら 優しく包んでいた黒い手袋
きれいに重ねて小さな箱にそっとしまったよ
気がつけば今年も来たんだ 春を知らせる便りが
電車のベルがホームに響く 旅立つ君を見送っていたよ
いつかどこかでまた会えるよね 君の言葉を頭の中
つぶやくみたいに繰り返していた

久しぶりだね こんなかんじでゆっくりと空を見るの
僕のとなりに君がいた時 不思議なほどきれいな
夕焼け空や光る星たちを いつも2人で見つめていたから
1人の空は何を探す気にもなれないくらいカラッポで
あの時もしもためらわないで 君の小さな手を握ったなら
僕たちはまだ思い出の中 旅を続ける2人のまま
いられただろうか?なんて思うよ

今年の春も桜が咲くよ あたたかな日差しが蕾育て
桜舞い散る時の狭間で 誰より長く君のことを
何度も何度も感じていたい
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