カラス

何気なく過ぎてく日々に僕は何を想う?
地下鉄に運ばれて今日もビルの森へと急ぐ
無駄口を叩かぬように余所見をしないように…
気が付けばまた夕暮れ時 同じ道を引き返す

カラスが鳴く 僕を見下ろすなよ
自由な空へと今すぐいざなってくれ

誰もみな焦りや不安を抱えて
迷いながら それでももがいているんだろう
『さあ行くんだ』他人(ひと)に背中を押されても
変わることが恐くて仕方がないんだよ
いつの間に翔び方を忘れてしまったんだろう

テレビを賑わす事件に僕は何を想う?
『独りじゃ何にも出来ない』と愚痴に溺れて眠る
夢ではこんなにも高く自由に翔べるのに
目覚ましが朝へ引き戻す 見渡せば籠の中

カラスが泣く 僕を哀れむなよ
汚れた空でもいいから連れ去ってくれ

誰もみな怒りや不満を数えて
堪えていた涙はどこへ流すんだろう
『さあ行くんだ』どんなに奮い立たせても
逃げる方が楽だと分かっているんだよ
死んだように生きるなら僕じゃなくてもいいんだろう

そうさ 誰もみな痛みや孤独を隠して
叫びながら 明日を探しているんだろう
『さあ行くんだ』錆びゆく翼を広げて
たとえそこに安らげる場所なんてなくても
僕の声に気付いてよ 君を探し続けるんだ
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