光芒 feat. 竹原ピストル, 仲井戸麗市

高校辞めてすぐぐらいのことさ
メンボで会ったあのオアシスブラザー
兄ちゃんの気分はもう完全にギャラガー
なのに弟のアイドルはヴィシャス

会うなりこうさ「お前は今日からマニ」
第一印象は …ああ、コレ無理
「俺らと会えたんやけんお前ツイとうばい」
香ばしい未来の黒歴史

とりま演ってみなきゃ分かんない
オッケーいいからスタジオに入んない?
金がない?バイト何しようと?ニート?ああもう帰りたい
ママにねだりにいくヴィシャス

兄ちゃんのパチモノリヴィエラ
暗証の禅師になってるチョーキング
脳筋のヤンキーだけに全部クリシェなコードプログレッション
それを聴いてるヴィシャス 発泡酒煽って歌う
なんか泣いてる
でも歌詞はアナーキーなストーリー 泣けるような内容じゃないぞ

ラッパーじゃないのにヘタクソに
文字詰め込んだりライム踏んだり
聴いていてしんどい曲わかる?
そういうレベルの「オリジナル」
でも俺もバカだから結局楽しくなっちゃって
並んで揃って首を振る
ディスコーダンスで踊ってる

俺たちは望んでる 光芒の中に明日を
もう、吹っ切れて歌う Gainはフル10で

最高へ、最高へ
そう、手を伸ばすよ
そしてこんな掃き溜め抜け出してやるんだ
(見てろってことだよ)

ガツン!!
エグい角度でもらったワン・ツー。
鼻血が吹き出す。
濃厚な赤錆びた匂いにえづきそうになる。
もし、“殺す気か?”と訊いたならば、
“はい、殺す気っすよ。”と答えたはず、
鬼の形相で次の一撃を振りかぶってやがる。

体勢立て直せ。グローブ握り直せ。
ガード上げ直せ。取り急ぎ身体ごと押し返せ。
部室の片隅にラジカセ。BGM。鳴り響いてる。
チャーミーが叫んでる、“栄光を掴め!”

女子マネがストップウォッチ片手に残り時間を伝え、
リングを囲うチームメイト達が声合わせ吠え、
ちょーこえー顧問のジジイが放送禁止用語連発で喚き散らしたところで、
スパーリング終了のゴング。

どうする、こんなんで。。いっこ下にここまでボコられたんじゃあ
次の大会になんて、出してもらえるわけなくて。。
噛み締める不甲斐なさと悔しさとマウスピース。
首が転がり落ちんばかりに俯いて降りていくリング。

俺のロッカーの扉には一枚のボクサーのポスター。
もちろんあの人。辰吉丈一郎 a.k.a.浪速のジョー。
今にも、“君、ヘタクソやなぁ。。”なんて喋り出しそうで、
思わず目を逸らし、脱ぎ捨てたウィンドブレーカー。

疲れ果てた体を引き摺って乗り込む帰りの列車。
学ランのボタンを外す、全身が鈍痛に火照った。
薄闇の中、ぼんやり浮かぶ工場群のシルエットを
抜け殻のようにただただぼんやり眺めてた。。

俺は、例えばあの製鉄会社の煙突の煙。
必死に身を伸ばし、捻り、捩るけど、雲には届かないまま、
散り散りになって消えていくだけの煙突の煙。
“栄光を掴め!”
“栄光を掴め!”
“栄光を掴め!”
“栄光を掴め!”
必死に身を伸ばし、捻り、捩るけど、届かないまま。。俺は煙突の煙。

俺たちは望んでる 光芒の中に明日を
もう、吹っ切れて歌う Gainはフル10で

最高へ、最高へ
そう、手を伸ばすよ
そしてこんな掃き溜め抜け出してやるんだ
(見てろってことだよ)

最高へ、最高へ
そう、手を伸ばすよ
そしてこんな掃き溜め抜け出してやるんだ
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