暮らし

愛してるかい 愛してるよ
このどうしようもない暮らしを
愛してるかい 愛してるよ 分からないや たぶんね

くたびれたスーツケースを引きずってくぐる 一週間ぶりの玄関
飛びついてくる犬のしっぽは 振り切れそう
抱きよせて においをかぐ

あなたは今夜も おぼつかない足取りで
もう飲まないって言ったじゃない
もう何度も 言ったじゃない

犬はあなたに撫でられたくて
腕にあご乗せて じっと見つめてる
わたしのいない二人の暮らしを想像してしまう
わたしはちゃんと お母ちゃんですか

ねえ、話を聞いて
わたしまたね、旅に出るんだ 5回寝たら帰ってくるからいい子でいてね

あきらめ顔でうつむく背中の毛は ずいぶん白くなった
何度も 何度も 何度も 撫でる

愛してるかい 愛してるよ
この暮らししか知らないし
愛してるかい たぶんね いつもあぶなっかしいからね
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