道行き

あんたが死ぬと云うたかて
私(うち)は死なへん 死んだりせんで
この世で出来た苦(く)の種を
何であの世へ持って行く
今宵 無月(むげつ)を幸いに
堀江を抜けましょ 二人して

どなたが生んでくれたのか
盥(たらい)渡しで里子に出され
親御の情け知らぬ身が
やっと見つけた真心(まごころ)や
難波 阿倍野を走り抜け
南を目指す 泉州路

やたけた 阿呆(あほ)と謗(そし)られて
気にもならへん 泣いたりせんわ
噂になれば御の字や
生きた証や気甲斐性(きがいしょう)
闇を押し上げ見上げたら
浪花の空が 拗ねていた
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