さむい夏

雨がたたく アスファルトを
バスへと走る
ポストのわき 傘の渦に 君は躓く
ぬれた制服 はじけて
交わす瞳が 乱れて
そうさ あの日に 君は
別離すら 決めていたのさ

ほら 僕に「ごめん」と言ったきり
なみだで「ごめん」と言ったきり
青い便箋の「さよなら」に 君が
君がにじんだ さむい夏

白いカップ 日暮れの喫茶店(みせ)
ミルクを滴らし
好きな小説(ほん)のワンシーンを
教えてくれる
君の 可愛い素振りが
急に 瞼に潤んで
そうさ あの日の 君が
今も 今も 微笑んでる

ああ 僕に「ごめん」と言ったきり
涙で「ごめん」と言ったきり
風の信号に「さよなら」と君が
君がにじんだ さむい夏

いつの日 二人は 愛に
(キスした… キスした…)
想い出 君は 抱えて
(夢の彼方へ)

ほら 僕に「ごめん」と言ったきり
なみだで「ごめん」と言ったきり
青い便箋の「さよなら」に 君が
君がにじんだ さむい夏
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