すれちがい

死んだと思って忘れてくれと
若さにまかせて言った日も
お前はグラスを頬にあてて
遠くを見つめているだけだった
しあわせなんだね わかるよ目で
やさしい男に 愛されてるんだね
こうしていると失くした月日が
古びた映画のようにまわるよ

あれから少しは苦労もおぼえ
お前のつらさもわかったよ
もう一度ふたりでやりなおそうと
何度も手紙に書いて破いた
しあわせなんだね それならいい
やさしい誰かを 待たせてはいけない
目と目をあわせ すれ違うように
人ごみの中にまぎれて行こうよ
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