海辺のテレフォン・ボックス

ガラスの向こうは渚よ
ブルーに煙って
海岸通りを 横切る 人影もない

潮騒の音であなたの
声までかすれる
もう一度言って 言葉が
聞きとれないわ
あなたにもらったポシェット
肩からはずれて
サヨナラと描いて破いた
手紙が落ちる

電話でKissしてね 微笑んで
ケンカをしたあと 仲直り
コードを指に巻き うつむいた
電話ボックス
あなたが好きよ 憎らしいけどね

意地張って海に来たこと
おこっていないの?
心配しないで 私は こんなに元気
透き通る空が素敵よ
なんてね 嘘言う
ほんとうは 大きな雨粒
ガラスをつたう

電話でKiss してね 許すよと
やさしく受話器に くちづけて
早く迎えに来て 海沿いの
電話ボックス
あなたが好きよ 憎らしいけどね

ガラスの向こうは渚よ
ブルーに煙って
海岸通りを 横切る 人影もない

早く来て
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