名前のない海

光を集めて
たゆたう水面
一度に掬える
水など僅かで

つかの間潤う
渇きはすぐに
命をさみしく
させるのでしょう

どこへ行くのか
わからなくても
いつか岸に繋いだ
ロープを解く

抱きしめられる
誰かがいると
海が教えて くれるなら

帰れるところも
行き着く場所も
それほど違いは
ないかもしれない

どれほど遙かに
思える果ても
命はかならず
応えるでしょう

夢とうつつの
境界線で
人は時に抗う
オールを握る

信じてくれる
誰かがいると
海が教えて
くれるなら

それは涙に
似てはいるけど
きっと深く優しい
心に変わる

抱いててくれる
誰かがいると
海は教えて くれるから
海は教えて くれるから
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