夜明けのバス停

夜明けのバス停でベンチに座る。
あぁ、取り残されたみたいだ。
足跡は砂浜に飲まれ、何も僕らを追ってこない。

先のことはわからないけど、
現在地を照らす朝日。
内緒話を大声でしよう。今を話そう。

潮風が舞った。ただ息を吸った。
なぜか涙がこぼれた。
誤魔化したくて汗を拭ったんだ。
なんだ、君もか。それならおあいこだ。

電灯が朝に気付かずに
まだ灯っている光景が、
僕たちを淡く抱きしめる。
いつも通りに戻っていく。

大事なもの、守りたいもの、
目を開けたら見えないもの。
飛び立つ蝉を
背景にして速度は上がる。

君が、先だった。
僕ら駆け出した。
絡まる髪を揺らして。
花火のようだった。音の鳴らない。
生きているんだな。生きていくんだな。

煌きは傍にあった。
息切れのように笑う朝だ。
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