風のお便り

貴方の香った便箋で指を切った
こんなに小さな刃が染みるほどの
毎日だったかい 遠い街 夕焼けを
教え合って 週末は帰るから

目を瞑ってでもぴったりの速度で歩けるくらい
貴方との足跡に込めたものが光りますように

冷めきった思い出も
焼いては食べたいのです
句読点の数だけ込めた想い

ぎこちなかった足取りでも
ちゃんと踏み込んだんだ
手書き文字のバランスの悪さで
笑えますように

少し距離を置くことが必要な時でも大丈夫
どんな場所からでもちゃんと貴方まで届く
あぁ なんて素晴らしい
魔法のよう

貴方の手に触れた時から空白は埋まって
晴れた日の午後に吹いた風に二人を乗せたいんだ
目を瞑ってでもぴったりの速度で歩けるくらい
大切な貴方にどうか強い風が吹きませんように
×