駄叉

愛だ恋だのはしらないしいらない
そう思っていたけれど
あなたの目に映った日から変わったの
そんな安いセリフくらいには
味気がなかったわ
呆気がなかったわ
でも今までの自分がいつまでたっても
戻ってこない
人は変わる
けれど
良い方ばかりには行かないようね
これは不可逆かしら
それなら

今際の際でそっとあなたを待つわ
今更、もう手遅れでしょうか?
ねぇ、
たかがキスくらいで落っこちたなんて
くだらないわ
それでも春だわ
春だったわ、

とは言えども
追いつかないの心が
隙間風の向こうに
貴方が浮かぶ
もう済んだこと
そんな言葉では止まれないよ
これもいつかなくなるの?

確かめたかったの
いや、諦めたかったの
でも本当のことだけだと
いくらなんでも辛すぎるから
せめて最後くらい嘘のひとつでも
ついておくれよ、ほうら
いけない、虚しいわ

今際の際でそっと貴方を待つわ
この期に及んでなにを
言ってるのでしょうか?
もういっそのこと
いつまで経っても治らない
この胸の痛みを、
日々に溶かして
空に撒いて、
花のひとつでも咲かせましょうか

今際の際でそっと貴方を待つわ
今更もう手遅れでしょうか?
ねぇ、
あの時の気持ちは日々の雑踏に
かき消されたようでもういない
それでも、
春だわ、春だったわ
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