桃源郷の女

甲斐の山脈(やまなみ) 指差しながら
遠い歴史を 語ってくれた
花よりきれいな 桃源郷(とうげん)の女(ひと)
旅の心を 捨てたいような
なぜか魅(ひ)かれる なぜか魅かれる
情けが辛い

御勅使河原(みだいかわら)を たたずむ影に
いつか日暮れる 白根の町よ
風よりいとしい 桃源郷の女
水の音さえ ささやくものを
もどかしいほど もどかしいほど
何(なんに)も言えぬ

桃の咲く頃 必ずきてと
そっと可愛い 瞼を伏せた
月よりやさしい 桃源郷の女
胸の日記帳(にっき)に 忘れぬように
愛の小指で 愛の小指で
記して欲しい
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