ヒトリヨガリ

トリヨガリが…
ヒトリヨガリが たそがれる月明かり

ひとりで出ている 夜明けの月が
行き場をなくして くずれてしまう
あの人だけと 信じていたの
さ迷うわたしは こころも乱れ
夜より辛い 朝が始まる
ヒトリヨガリが…
ヒトリヨガリが 立ちすくむ薄明かり

今夜は実家の 布団で泣けと
小鳥がささやく 無人の駅よ
作り笑いに 気付いてたのね
理由(わけ)などなんにも 聞かない母が
荒れたその手で そっと抱き寄せ
ヒトリヨガリが…
ヒトリヨガリが うたかたの夢を見る

片付け終わった お部屋の窓に
今年は咲いてる カンナの花が
二度とは来ない この町なのね
別離(わかれ)の来る日が 分かっていたら
なんにもこんなに 愛さなかった
ヒトリヨガリが…
ヒトリヨガリが 残り香に振り返る
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