まことの舞

「これは……まことの舞。まことの語りにございます」

「星も月も身を隠し、重たい雲垂れ込めた暗い夜。
今にも空が泣き出しそうな夜にございました。
がたりという物音が響き、乳飲み子であった私(わたくし)は、
床下の隙間へと隠されました……」

降り出した雨が
掻き消していく
悲鳴も泣き声も
肉を断つ音も

降り出した雨が
押し流していく
愛しき家族の
生暖かき血を

私はひとり
私はひとり…

残されたのは
恨み 辛み 痛み
仇討ちという
生き甲斐

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