マッチ

どれだけ あなたを待ってても
来てはくれない わかってた

北の岬の寂(さび)れたスナック
時代遅れの灰皿よ

マッチ
そっと擦って 点けた火は
胸の奥を照らす愛の炎
燃えて揺れて
やがて消えて
何も出来ずに
これで終わり

最終列車が出て行った
遠い汽笛の残響よ

女が一人 カウンターの端
氷の溶けたハイボール

マッチ
何度 点けてあげたでしょう
風に消えぬように手で囲って
私だけの
あなたでいて
同じ煙草の
匂いがする

何にも聞かないマスターが
熱い日本茶 前に置く

人生なんて吸殻ばかりで
燃えてた日々はどこへ行った?

マッチ
そっと擦って 点けた火は
胸の奥を照らす愛の炎
燃えて揺れて
やがて消えて
何も出来ずに
これで終わり
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