easy escape

雨はすぐに上がった
とっておきの白いスニーカーに履き替えた
ああそうだ わかってるさ
約束の時間だろう
茹だる暑さに緑匂った

湯気が立つ道路の向こう側に
君のシルエット見つけたんだ
ああそうだ わかってるさ
見惚れちまったんだろう
集合場所にたどり着く前に

君の手引いて
走って逃げる
そんな自分を夢見ていた
臆病だった
心のままで
僕らの八月が始まった
進めよ少年
うつむいたまま
足元だけ気をつけりゃいいさ
花火が始まる時間になれば
人類が夜空に夢中になって

逃げ出したい

君の心を全部
僕に向けて欲しいだなんて思わないよ
ああそうだ わかってるさ
炭酸も抜けただろう
何か言いたげな街は黙っている

上を見て君が言う
これがさ ずっとさ 続けばいいのにな
僕は声を出さずに
頷くフリして横顔を見てる

いつか君が
違う人と
笑いあう未来があったとして
胸の痛みが
僕のダイアリー
一緒に生きてやろうじゃないか
進めよ少年
汗ばむ群青
僕らの八月が始まった
花火が始まる時間になって
世界が変わる合図だ

君の手引いて
走って逃げて
転んで手も足も擦りむいて
臆病だった
心のままで
僕らの八月が始まった
進めよ少年
汗ばむ群青
笑う君が僕を見下ろした
花火が始まる時間になれば
人類が夜空に夢中になって

逃げ出した
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