フランネル

単純なことですら
難しく考えてしまう癖
斜め色の夕景に
やがて僕も染まりはじめてる

焼きついたまま
君をくり抜いてずれる街
言えないままに飴玉は溶けて
甘ったるいだけ

不確かで不揃いの言葉じゃ
選んでも選んでも
渡すもんがない
ねえどうしても
ありのままを吐いても
ほつれた先から
風に舞う紅いフランネル

欄干の影を跳ぶ
また一つ飴玉が落ちる

頭の中で
街をくり抜いてずれる君
眩しくてまだ
僕は目を伏せたまま

身勝手で頼りのない僕じゃ
選んでも選んでも
渡すもんがない
ねえどうしても
ありのままを吐いても
ほつれた先から
風に舞う紅いフランネル

高層ビルが滑る
斜陽が点滅して
言えなかった言葉
奥歯で噛み砕いて
街明かりが灯る

ねえどうして
曲り歪む世界で
ねえ僕らは
別のなにかを見てる
たとえそうであっても

ねえどうして
ありのままの声じゃ
叫んでも叫んでも
届きはしない
ねえどうやら
分かり合おうとしたいだけ
解いてよ 解いてよ
風に舞う紅いフランネル

それは眼前で解けた快刀乱麻
僕ら台本を焚べた
今 夕日が燃える
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