諦めの恋人

昼の隅で手を上げ
タクシーを止めて 急かして

どうか暗くなる前に
どこか遠くの方へ
シートベルトが締め上げて

むせてくる思い出に
たちのぼる 諦めの恋人

荷物はなにもなかった
鞄さえない
欲しい物はあの場所にはもうない

なのに くどいコートはおり
嫉妬 純粋 愛情 軽蔑
重すぎて 前に進めない

今なら 明日なら
他人なら 諦められるかも

ブレーキかけたり
ハンドル回したり
どうしていうこときかない

懐かしい景色
後ろ向きの景色
振り返ったら 酔いはじめ

むせてくる思い出に
たちのぼる 諦めの恋人
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