ギュゲスの指輪

誰もいなくなる
透明な噺
床に吊るされる
想像の噺

顔が見えない
目は届かない
名のなき罪は嵩む

また一人
愚か者が
指輪を填めたか

正義の下
槌を落とし
何を傷つけたのか
気付きもせず
無邪気な瞳が
私に微笑む

こんな時代に生まれさえしなければ
そんな戯言

聞きたくはない
聞きたくはない

終わりにしよう
そのほうがいい
もう何も交わせない

この先は
行き止まりと
わかっているから

正義の下
槌を落とし
おまえが殺したのは
二度ともとに
戻りはしない
私の心だ

誰があらわれる
不透明な話
天井にひれ伏せる
本当の話
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