坂道

夏は向日葵 蝉時雨 遠くの逃げ水
あなたと歩いた坂道 風の通り道

屋根と屋根の隙間から 静かに光る海
遠い観覧車 海鳥 あの時と同じ

胸がざわめいて 痛い
あの頃のあなたは
少女の手を離れ 遠く彼方に 消えていく風船

あの時素直に泣けたら 今ごろ二人は
後悔などしないけれど 決してしないけれど

毎日のぼった坂道
手もつなげぬまま
麦わら帽子が風に飛び
追いかけたりして

本当は私 本当は私
声を上げ 泣きたかった

夏は夕暮れ 涼風に 町が輝く頃
遠い日の思い出をふと 胸に抱きしめる

あの暑い夏の坂道で
あなたが好きでした
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