夏に溺れる

揺らいだ世界はいつもより眩しかった
きっとあれは夢なんかじゃない
魔法みたいな遠い夏の日

切り取ったって手に残るものはなくて
君といた夏 青に飲み込まれてしまいそうで
走ったって手の中から飛び出して
目を離したら 今が凪いだら
消えてしまいそうだ

サイダー 飲み干して
目に映る雲を追いかけた
時間が止まるほどに愛しくて
寂しかった遠い夏の日

思い出したって ってもうあの日には
戻れなくて
思い出になったらいつか薄れてしまいそうで
思わずこぼした涙は透明で
目を開けてても 耳澄ましても
戻れはしないな

色褪せた僕らの記憶に花を
過ぎ去った時間に呼吸を
夢かもしれない 魔法かもしれない
凪いだ海の真ん中で 僕は
夏に溺れていた

切り取ったって手に残るものはなくて
君といた夏 青に飲み込まれてしまいそうで
走ったって手の中から飛び出して
目を離したら 今が凪いだら
消えてしまいそうだ
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