ポーッ

あのこが去(い)ってしまった
だれにもゆくさきいわず
あのこの消えた道のむこうで
その時汽笛がポーッと鳴いた

あのこは去ってしまった
ただこのぼくだけひとり
あのこの消えた道のむこうを
それからときどきポーッて呼んだ

あのこが去ってしまった
あのこの暮らした町に
やさしく香る空のどこかで
きのうも汽笛がポーッと鳴いた

あのこは去ってしまった
いつかはぼくにもきっと
あのこのように夢が光って
その時汽笛をポーッと鳴らそ

あのこが去ってしまった
だれにもゆくさきいわず
あのこの消えた道のむこうで
その時汽笛がポーッと鳴いた
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