HANAGATAMI

黴の花にふれるようなやさしさで
尖った輪郭を愛したくなった
流れ落ちるしずくだけが嘘を赦して
ここではないどこかにつながっていた

花筐 からだは囚われて
動けない こころが枯れないうちに
翔び立とう 境界線の内側から
わたしはわたしの手を引いた

壊したくて壊すようなことはなく
壊したそのときに壊したくなった
演じていた昨日までが消えてなくなり
わたしだけの痛みにやっと出会えた

花筐 からだは囚われて
動けない こころが枯れないうちに
翔び立とう ここには誰もいないから
わたしはわたしの目を隠した

長い夢をみていた くらやみのなかで蝶が舞っていた
花をただ演じていた わたしも隣で咲いていた

目が覚めてまわりを見渡した
変わらない いつから枯れていたのか

花びらが散らばっている
願いのかけらをひろい集めたような

花筐 秘密は暴かれて
美しい めまいが消えないうちに
歩き出そう 境界線の内側から
わたしはわたしの手を引いた
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