rural

車を降りて少し咳をすると
朝日は既に昇っていて
畦道をしゃんと背筋伸ばし
足音静かに踏み出した

日焼けた過去に失われた色が
今目の前で塗られてゆく
美しいと思えば穢れるのが
少しだけ、怖くて

アイデアなんか微塵も要らない
人知れずバス停で黄昏れた

誰も旅路が未だ終わらないとして
街の明かりが多い程
その裏側に光は差さずに
涙の色にすら気付かない

如何して僕の理想郷は
透明で屹度、旧い街に藍は灯る

描く未来、灰に染まって

世界はまだ未完成で
何時か皆儚く散ってゆく。
答えてよ

誰も彼もが
未だ終わらないとして
足音静かに
今目の前で応えを待たずに
明日の一歩を踏み出して

誰も旅路が未だ終わらないとして
街の明かりが多い程
その裏側に光は差さずに
涙の色は今、澱まない
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