仮題

出来損ないでもいいからなんて、言わないでおくれよ。
出来損ないなりに傍に居られる方法を探したんだ。

肌感覚すら薹が立つ。
もうじき終わる。少なくとも熱は下がる。
うなされていても、見ていたい夢だったのに!

手癖が似てくる。
当たり前の幸福は目が滑ってしまう。
傷つけ方をよく知っているね。
あなた、優しいんだよ。

春と秋は、十年後ないかもね。
あぁ、なるほど。
だからとくべつ美しく作ってあるんだね。
嫌でも残るよ。

胸を張れるほど音楽は好きになれない。
仕事にするくらいがいいよ。
好きになりたいのに
あなたのようにいかない。

昏々と眠る。寝汗に触れる。
ブランケットはくしゅくしゅ。
あなたの丸まり方、動物みたい。
借りてきたみたい。

もうちょっと耐えたら春がくるから、
そこまではここにいな。
色素も肌も薄くはないが、
絵文字を使うと優しくなれた気がした。

書き切ってしまえば楽になるが、
本当に会えなくなっちゃうよ。

進まない理由だけを嬉々として拾い集めている。
タイトルは空けておく。あなたに託す。
「遺書」以外で頼む。
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