閃光バード

息が詰まる檻の中
目の前にある物だけが
この世界の全てだった
いつまでも羽の生えない体

八月 夜の寝苦しさ
開け放たれた窓から
何より綺麗な物を見た
黒い空覆い尽くす花火

途方もなく自由に
光っていて目を奪われる
それは檻の中

空を飛べないまま
空を飛べないまま
世界の広さを知らない私は
窓の向こう側に
今 夢を見ていた
私を貫く眩い閃光

瞬きを忘れていた目が
画素数を落としてきた
あと少しの辛抱だから
その後は何も要らない程に

後戻りできなく
光って命を燃やしたい
それは夢のように

空を飛びたいから
空を飛びたいから
世界の憂いすら気付かない私は
檻の向こう側に
今も夢を信じた
私を導く眩い閃光

靴も履かないまま
羽も生えないまま
世界の光を見つめた私は
夏の向こう側
誰も知らないまま
宙に浮かんでたあの日の閃光
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