長谷寺の雨

しぐれの雨に 打たれる牡丹
遅咲きを 恥じらうか
三百と九十九段の 登廊(のぼりろう)
忘れよう それがいいんだ それが
好きでいるからこそ 終わらせる
法螺貝(ほらがい)が 胸をえぐるよ

あの日のことは 運命(うんめい)だった
こんなにも 苦しむか
舞台からはるか彼方は 墨流し
忘れよう それがいいんだ それが
夢にするしかない 二人だよ
気の弱さ 笑いとばせよ

しぐれの雨が 屋根から落ちる
トレンチに 沁みこむか
あの人も きっと不幸のままでいる
忘れよう それがいいんだ それが
誰のせいでもなく 俺にある
思い出は 捨てはしないよ
×