十九

蝉の声が少し
小さくなった気がした
8月の最後の日
絵日記はまだ白紙で
正午過ぎの空は
何故か少し怖くて
大きな入道雲が
君を見えなくする

いつものあの公園で
君と夢を語り合った
あの頃の僕達は無敵で
なんだって出来る気がしていた

あの日見た夕焼け空
君と飲んだ三ツ矢サイダー
僕らは青さを忘れてゆくけど
あの夏を思い出す
まだあの夏を覚えてる

あれから時は過ぎ
僕らは大人になり
君は東京の街で
髪を赤く染めた
昔の事なんて
今はもう忘れたわと
笑う君の顔は
まだあの頃のままだった

溶けた氷菓子が
太陽に照らされてる
キラキラと光る様が
忘れた思い出みたいだった

あの日見た夕焼け空
君と飲んだ三ツ矢サイダー
僕らは青さを忘れてゆくけど
あの夏を思い出す
まだあの夏を覚えてる

雨上がり
晴れ渡る空が
なぜだか少しだけ滲んでいた
ゴミみたいな僕らの青春は
失って
輝きを帯びた

あの日見た夕焼け空
君と飲んだ三ツ矢サイダー
僕らは青さを忘れてゆくけど
あの夏を思い出す
まだあの夏を覚えてる
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