鴎宿

あなたの似顔絵 口紅で描(か)く
夢二の詩集の裏表紙
出船待つ宿 日暮れは早い
春というのに 雪降りやまず
みれんがみれんが つのります
東京捨てて 海峡こえて
それで終りに できるでしょうか
窓のむこうは波また波…ここは鴎宿

今朝まで住んでた 賑わう町が
遥か昔に思えます
ふたり飼ってた 小鳥の世話を
忘れないでと 最後のメール
涙で涙で かすみます
東京行きの 最終列車
入江づたいに 今消えてゆく
窓のむこうは波また波…ここは鴎宿

東京捨てて 海峡こえて
それで終りに できるでしょうか
窓のむこうは波また波…ここは鴎宿
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