エズの扉

南吹く潮風の翼にはこばれて
いつの日かもう一度
あの街をたずねたい

行きずりにであった人
岩壁にスミレにおう空の迷路で
二人かわした思い出が
いまでもかけめぐる

裸足でのぼった石畳の
すべりそうなやわらかい光で
寝ぼけ眼の鳥たちには
きみの姿はみつけられない

南吹く潮風の翼にはこばれて
居眠りの木陰に
エズのあの扉みつけた

行き止まりにであった人
屋根裏に灯りともる――

迷路でひろった
めくるめく鷲の羽
さしておいた扉をあけよう
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