ペトリコールの夕景

届かないものばかり
目に映る午前二時

言葉にするのは
得意な方じゃない

孤独を癒すため
群れには馴染めど

気づけば失くした
ものすら忘れたんだ

蓋をしたまま
開けない記憶
笑っているのは
いつかの焼けたフィルム越しの追想

掠れた願い

理解されるのが怖くなって
手放すフリをした夢が
痛いくらいに脈を打っている

長くなったね
泣き腫らす君を抱きしめて
風の音 二つ影が伸びる

とっ散らかったままの
不恰好な日々を歌って!

どこへも行けない
正しくあれない
どうしてこんなに
空っぽなんだっけ

転がる季節に
置いて行かれないように
どうにか毎日を
やり過ごし続けた

透明な壁があるみたい
歩けない
いつだって僕は
取り残されて

肯定されない
日々に価値はない?
明日は間違いじゃない方を選べるといいな

目隠しのままで
見つけられたのは
その場しのぎの答え
そうしていつも逃げてきたんじゃないか

否定されるのが怖くて
ひた隠しにしていたものも全部
僕を形作っている
悲しみだけじゃ
本当は何も変えられないこと

理解されるのが怖くなって
手放すフリをした夢が
痛いくらいに脈を打っている

長い夜に
もう二度とはぐれることはないさ
雨の匂い 傘もささず踊る

ねぇ こうしていたいだけだったんだね
ここには僕らしかいない

とっ散らかったままの
不格好な日々を愛して
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